2021年10月29日

デジタル化解説コラム「デジタル活用による儲かる経営づくり(全4回)」(第3回)2022年、ペーパーレス経理に今度こそチャレンジ【DX推進室】

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「デジタル活用による儲かる経営づくり」

(第3回)2022年、ペーパーレス経理に今度こそチャレンジ

 

 「経理のペーパーレス化」と言われて久しい。大企業は基幹システムとして競い合うように導入を進めたが、小規模事業者には遠い話だ。しかし国も腰をあげ、スモールビジネスの経理の電子化をグンと進めてきている。

 

 ペーパーレスのメリットは大きく2つある。1つ目に、肉体的・精神的な余裕が増える。決算前に、ダンボールの中からたった1枚の領収書を探すこともなくなる。請求書を印刷して封筒に詰め郵送、ミスがあれば再送…というばからしい対応も減る。クラウドで保管していれば、事務所に出向かず自宅でコーヒーを飲みながら作業ができる。売上アップやコスト削減の前に、まずは余裕づくりから始めよう。

 

 2つ目は、経営に関わる重要な情報が得られることだ。例えば売上日報をイメージしてほしい。紙やエクセルで日々の売上を従業員に報告させているとする。その情報はあくまで「毎日の売上記録」に過ぎない。しかしこれらをデジタル情報として扱えば、昨年対比・商品別・時間帯別と、様々な角度で分析をすることができる。「ただの記録」が「売上を伸ばす情報」に進化するのだ。

 

 しかし、こう言う人もいる。「いくら電子化といっても、領収書や請求書は法律があるから捨てられない」。かつては、そうだったかもしれない。しかし2022年、この「電子化」に大きくメスが入ることをご存知だろうか。

 

 

 「電子帳簿保存法」という法律がある。本議論で関係があるのは「請求書・領収書」が破棄OKになる、という点だ。以前からある法律だが、2022年1月から大きく要件が緩和されることになる。この機会に「今度こそ我が社もペーパーレスにしたい!」と意気込む方々に向けて、取り組むべき方法を3ステップでお伝えしたい。

 

 1段階目は「そもそもアナログを減らせ」だ。例えば消耗品もクレジットカードで購入する、請求書はPDFのメール添付や請求書作成ソフトから直接送信する、など。前提となる紙を半分、また半分と減らすのだ。「紙が多いから、スキャンしてAIに処理させたい」という声もよく聞くがこれは間違い。正解は「まずは人間の努力で減らせるだけ減らしてから」となる。

 

 2段階目は「クラウドサービスの活用」。クラウド会計の中には領収書・請求書をスキャン管理できるものがある。当社は「freee会計」を活用しており、証憑はスキャンして袋にポイッといれるだけ。仕訳とレシートが紐付いてオンラインで管理されていて、税理士にもリアルタイムに共有される。税理士から「レシート見せて」と言われることもないし、原本はここ5年、一度も開かずに済んでいる。

 

 3段階目が「電子帳簿保存へのチャレンジ」だ。経理の電子化の極地で、前述のようなクラウドサービスを活用しつつ電子帳簿保存の要件を満たせば、原本破棄の世界がやってくる。タイムスタンプや操作ログ(原本証明の機能)が実装されていれば、ついに日本の経営者は、紙ゼロ経理にたどり着く。

 

 

 電子化に対して「費用対効果が乏しい」「メリットがわからない」などの理由で検討すらしない人も多い。しかし、そういった人でもスマホを手放せないし、ネット通販を多用しているかもしれない。身の回りのサービスが便利にIT化されている中で、自社の経営や従業員のワークスタイルだけ昔のままでいいと思っていると、時代についていけず人材獲得もどんどん難しくなっていくだろう。

 まずは小さな一歩。領収書一つから、ぜひチャレンジしてほしい。

 

井領 明広(いりょう・あきひろ)

つづく株式会社社長。長野県上田市を拠点に、企業のクラウド化・業務自動化を支援。

 

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